このページの目次
- マダイ、フカセ五目などの「水面からのタナとり」
- リールのカウンタを0(ゼロ)セット
- 道糸の色とマーキングで水深を測る
- タナを守る事の重要性
- リールのカウンタにはどうしても誤差が発生してしまう
- アマダイや泳がせ五目などの「底からのタナとり」
マダイ、フカセ五目などの「水面からのタナとり」
まず、マダイ等の船釣りで行われる、「水面からのタナとり」についてご説明します
コマセを使う船釣りでは、お客さん全員がタナを一致させる事がとても重要です。 タナとは攻める水深の事です。コマセカゴの位置(水深)を基準にして合わせます。 タナが違っていると、自分が釣れないだけでなく、周りのお客さんにも迷惑をかける可能性があります。 船長がタナ(水深)を指示しますので、必ずその通りの水深にコマセカゴを位置していただくようお願いします。
マダイやフカセ五目の時は、ビシやコマセカゴをどの水深で止めて待つか、という指示の仕方になります。 ハリの位置ではありませんので、間違えないで下さい。だからハリスの長さは関係ありません。 単純にビシを指示通りの水深で止めて待つだけです。
またタナは「大体」ではなく「正確」に合わせる様に心がけて下さい。 タナを正確にするために、以下の事に注意が必要です。
リールのカウンタを0(ゼロ)セット
ゼロセットのやり方
釣りを開始する前に、リールの水深表示をセットします。竿をロッドキーパーにセットした上で(これ大事)、ビシやコマセカゴを海に入れて、 ちょうど海面に来た時にリールのカウンタがゼロになるようにセットして下さい。 ビシが手元にある時にゼロにするのは誤りですよ。)
リールのカウンタを0にセットする時、通常は0セットボタンを押しますが、実はなるべく0セットボタンは使用しない方がいいです。 後述しますが0セットボタンを使用するとカウンタの誤差が徐々に出きてくるからです。0セットボタンを使わずに0セットするには、 ビシが海面にある状態で初めてリールの電源をONしてください(電動リールならば電源ケーブルを接続してください)。 電源を入れた時は必ずカウンタは0(ゼロ)ですから、0ゼットボタンを押す必要がありません。
こんなお悩みには
こんな質問をいただいたことがあります。
竿が長く(3.3m)80号のビシを付け竿先一杯まで巻いても ロッドキーパーにセットした時にビシが水面下1mくらいにある場合のゼロセットは、 その状態でゼロセットして棚合わせの時に海中に入っている部分をマイナスするしか方法はないのでしょうか?
同じ悩みを持つ方もおられるかも知れません。ご参考まで、私からの回答は以下の通りです。
すぐ思いつく方法は2つあります。 1.キーパーのアームの角度を上げて、竿先が水中に没しないようにする。 あまり竿の角度が上がるようなら、船べりの上に当て木をしてキーパーの垂直位置を少し上げるというのも加えたらいいです。 これがまずまっとうな対策だと思います。 2.こっちはちょっとトリッキーですが…要するにリールをいっぱいに巻いた時点でカウンタが1mになればいいわけです。 一度テンビンを道糸から外して、少しリールを巻き、道糸の先端がトップガイドよりも1m手前にくるようにする。 (竿先1m以内のガイドには道糸が通っていない状態)そこでゼロセットする。道糸をガイドに通してテンビンをつなぐ。
船べり自動停止を使うならゼロセットは必須です
次の項で説明する道糸の色とマーキングでタナを合わせる方法を用いる場合もカウンタの0(ゼロ)セットはやっておいた方がいいです。 電動リールをお使いの時に「巻き上げの船べり自動停止」の機能を正しく使えるようにするためです。
カウンタのついていないリールをお持ちの方も全然問題ありません。以下を参考にして下さい。
道糸の色とマーキングで水深を測る
実はリールのカウンタはほとんどの場合誤差が生じますので、参考程度に使用して下さい。 正確にするには、道糸のマーキングで水深を測るようにお願いします。 道糸は10m毎に色が変わります。そして1m毎に白か黄色のマーキングが入っています。 仕掛けを投入する時にこれを目で追えば、水深を正確に測る事ができます。 道糸がメジャーか物差しだと思えばいいわけです。 面倒なようですが、このやり方は船釣りでは必須と言っていい位大事ですよ。 お客さん皆さんちゃんとやっておられます。
例えば指示タナが22mの時は、仕掛けを投入し、道糸の色2色分(20m)落としてから、 マーキングを2つ(2m)数えて、2つ目が水面の少し上に来る時に止めれば、 ビシはちょうど水深22mの位置にきます
但し道糸の先端(テンビンがつながっているところ)がちょうど10m毎の色の切れ目になっていないと、 このやり方はうまくいきませんので、事前に道糸を確認しておいて下さい。
道糸の先端に先糸(リーダー)を付ける方は、その長さ分を考慮する必要があります。
おさらいのために、実際の投入に合わせてマーキングの見方を時系列で見ていきましょう。
道糸の色とマーキングでタナを合わせる方法は一つだけ欠点があります。 色盲のお客さんはできない可能性があるということです。その場合はご予約の際に船長にお伝えください。 船長のすぐ横の席になるように調整させていただきます。船長がタナを確認します。
道糸の色でタナを合わせる時によくありがちな間違い
マダイの10mハリスを投入している時に最初の10mの道糸が通り過ぎてしまい、 次の10mの色が最初の10mの色だと勘違いしてしまうケース。 つまり最初の10mを見落としているのです。 これだとタナが大幅に狂ってしまいます。 道糸先端の10mの色は予め確認しておきましょう。
竿の長さの分を考慮して、正しいタナよりも数m浅くするケース。 水面から上はまったく関係ありません。竿の長さが何mであろうとタナを浅くする必要はまったくありません。あくまでも水に浸かっている糸の長さなのです。
道糸の先端を釣行のたびに切断しない
道糸の先端にスナップをつける時は、きっちり結んでしまうと、釣りが終わった後で道糸を切らなければいけなくなってしまいます。 そうすると当然道糸の先端が色の切れ目でなくなってしまうので、上記の道糸で水深を測る方法がうまくいかなくなってしまいます。
それを防ぐために、道糸の先端にチチワを作ってそれにスナップをくぐらせてつなぐようにして下さい。 こうすれば道糸を切ることなく、スナップを付けたり外したりできます。
チチワを作るときは、大きいチチワの先端に小さいチチワを作っておくと、ほどく時は小さいチチワを引っ張ればいいので、楽ですよ。
毎回道糸を見る必要はない
釣行の最初の一投目では、必ず道糸でタナを合わせる癖をつけましょう。それによってリールのカウンタが合っているかどうかがわかります。
毎回投入のたびに道糸で水深を測らなくても、一度誤差を確認すれば後はカウンタでタナをとればいいですよ。 つまり指示ダナ22mで道糸で正確にタナをとったらその時カウンタは20mだったという場合、 次はカウンタ20mで止めれば指示ダナ22mにピッタリ合うわけです。
但しタナが変わるとカウンタの誤差も変わりますから、タナが変わったら、また道糸で水深を確認して下さい。
注意すること
タナの下2m位までの一時的な誘いの落とし込みはOKですよ。タナの上も数mまで上げてもらっても構いません。但しオマツリにはご注意を。
仕掛けの投入の際には、指示されたタナより下にビシを落としすぎないように注意してください。もちろん底まで落としたりしてはいけません。 指示ダナできっちりビシを止めるには、仕掛けを落とす時に回転するスプールに指でブレーキをかけること。そして指示ダナに近づいたらブレーキを強めてゆっくりおろすようにしてください。落としすぎて慌てて巻き上げるのは、最悪の場合魚を散らしてしまいますよ
道糸が潮に流される時に道糸のマーキングで正確に測る方法は
タイトル通りのご質問をお客様からいただいた事があります。 要するに速潮の影響で道糸が斜めになってしまったらその分ビシは浮き上がってしまうだろうから、その誤差はどう考慮したらいいのか?ということです。 それに対する回答は以下の通りです。
道糸が斜めになる事による誤差をお客さんが気にする必要はありません。お客さんがやるべきことは道糸で正確に測るところまでです。 まずみんなが揃えることが重要で、誤差が出るならみなさんほぼ一様に誤差が出るので問題ありません。 あとの判断は船長がすべきものです。必要ならもう少しタナを下げたりするでしょう。 それに誤差は微々たるものです。考えられているほど大きいものではありません。 もし大きな誤差が出るとしたらそれは操船に問題があると思います。
PEラインの色で水深を測る方法を動画でも解説しています
タナを守る事の重要性
タイ釣りでタナを守ることはとても重要なことです。
お客さんから聞いた話ですが、ある釣り船の船長が言うには「朝一の投入で皆さんのタナがビシッと合った時、 あ~これなら今日は大丈夫だ、とホッとする」とのこと。この気持ちすごくよくわかります。
船のタイ釣りの基本的なやり方は、お客さん全員が一定のタナでコマセを撒くことによって、 やる気のあるタイを浮かせてそれを狙うというものです。 全員が協力して同じタ ナでやれば最も効率的にタイを釣りバリの高さまで浮かせることができ、 かつ皆さんに平等にチャンスが生まれます。
タナが合っていないとどうなるか
逆にタナが合っていなくてコマセの撒き位置がバラバラだと、 所謂「タナボケ」という状態になってしまい、タイの浮きが不安定になり、 釣れるタナがはっきりしなくなり、釣りにくくなるかもしくはまったく釣れなくなる事もあります。
水温が低い時期に特に多いのですが、タイがビシを警戒しなかなか浮いてこないことがあります。 こういう時のタイはビシから一定の間合いをはかり、なかなかその間合いの中に踏み込んでくれません。 タナを下げれば魚も下がるし、タナを上げれば魚も浮きますが、あくまでも一定以上の距離を保っています。 じっくり時間をかけてハリのそばまで浮かせる必要があります。
そこで待ちきれずにタナを下げてしまう人がいると、一層タイは警戒の度合いを増して浮きにくくなってしまうのです。 浮いてこないならみんなでタナを下げてしまえばいいじゃないかと思われる方もいるかも知れませんが、 あまりタナを下げるとタイが逃げてしまう事もあるため、その辺りの判断は船長に任せていただきたいと思います。
外道や餌取りが多いときにはコマセの使い方が重要になってきます。タイをハリのそばまで浮かせたいのですが、 それ以外の魚にはハリに近づいて欲しくありません。こういう時にタナを間違えて低くしている人がいると、 コマセの振り位置が他のお客さんのハリのそばになってしまい、そこへ外道や餌取りが集まってしまいます。 しかもより警戒心の強いタイは浮きが悪くなってしまい、結果的に他のお客さんに迷惑をかけてしまうことになります。
リールのカウンタだけでは正確なタナとりができない事がある
わざとタナを落としたりするのは当然いけない事ですが、 お客さん本人がそれと気付かずにタナを間違えているケースも実際時々あります。 タナが低いだけでなく、到底釣れないような指示ダナより非常に高いタナになっている事もあるのです。 そういう事は、リールのカウンタでしかタナを見ていないと誰にも起こりえます。
リールのカウンタにはどうしても誤差が発生してしまう
以下は私の想像であり、メーカーさんに確認したことではありませんが…
リールのカウンタはスプールの回転数を数えることによって、道糸がどの位の長さ出て行ったかを計っているのだろうと思います。 リールには何号の道糸を何m巻いて下さいという指定があります。 その指定通りにしていれば、スプールの回転数と実際に出て行った道糸の長さの相関関係についてリールが持っているデータと一致するので、 カウンタはほぼ正しく表示されます。
ところが、指定の道糸と違う太さの道糸や違う長さの道糸を使用したりすると、 とたんにカウンタは合わなくなってしまいます。例えば指定よりも細い道糸を使用した場合(長さは指定通りとする)、 完全に糸を巻ききった状態でのスプール+道糸の直径は、 指定通りの糸による直径より細くなります。ですから最初の10mを引き出した時のスプールの回転数は、 指定通りの糸を使った場合よりも多くなるはずです。指定より細い道糸を使っている事をリールは知りませんから、 リールのカウンタは10mよりも大きい数値を表示するはずです。
また、指定通りの太さで長さだけを変えてもやっぱり同様に誤差が出るはずです。 これも直径が変わるからです。
さらに想像を進めると、同じ号数でもメーカーや銘柄によって糸の太さが違ったり、 糸を巻く時のテンションを緩くしたり逆に負荷がかかったり、またオマツリなどで道糸の先端を何mか切った時なども、 微妙ではありますがスプール+道糸の直径は変わってしまい、カウンタの誤差につながります。 それがほんの小さな誤差、例えば1m当たりほんの数cmであっても水深何十mともなると誤差が拡大してしまうのです。
神奈川の釣具屋さんのページ(こうゆう丸のページから離れます)に、 電動リール(電動丸)のカウンタが合わなくなる原因について詳しく説明されています。 私も勉強させていただきました。よかったらご参考までご覧下さい。 ゼロセットボタンが高切れ修正ボタンを兼ねているために誤差が発生するというお話です。
リールのカウンタの0(ゼロ)設定を正確にやっても…
ご注意いただきたいのは、水面でカウンタのゼロ設定をしっかりやったとしてもこの誤差をなくすことは出来ないということです。 水面でカウンタがきっちりゼロになっていても1m落とせば数cm誤差が出て、10m落とせば数十cmの誤差が出て…というように、 水深に応じて誤差が発生・拡大してしまうのです。
リールの機能による誤差補正をマメにやりましょう
リールを購入したばかりで道糸を巻いた時にキチンと糸巻き学習設定をしてあれば、しばらくはカウンタの誤差はほとんどありません。 でも釣行を繰り返す内に必ずカウンタの誤差は出てきます。釣行中に道糸のマーキングで確認してみてカウンタの誤差を発見した場合、 帰宅後にリールの糸巻き学習をやり直せばまたカウンタ誤差をある程度なくすことができます。
道糸のマーキングを見ればカウンタに誤差があったとしても釣りはできるのですが、 それでも糸巻き学習をやって誤差を補正しておいた方がいいですよ。1~2mとかの誤差ならまだいいのですが、 5mとかの誤差になると道糸のマーキングで見る方法を併用した時に、 色を見落として10mもタナが狂ってるなんていう話も実際にあるんです。
糸巻き学習機能と言うのはカウンタ付きのリールに新しい道糸を巻く時に使う機能で、道糸を巻き取る時にスプールが何回転したかを調べておいて、 釣行時に仕掛けを下ろす時にスプールが何回転したかを元に仕掛けが水深何mにあるかを計算できるようにする機能です。リールによってやり方が違いますので詳しくは取扱説明書をご覧ください。
私は電動リールにシマノの電動丸を使用していますが、糸を一旦全部引き出して、 糸巻き学習をやり直せば、かなり誤差は修正されます。
電動リールの糸巻き学習は電源につながなければできません。ご自宅なら車のバッテリ(12V)につないでもできますよ。 なんなら事前に言っていただければ釣行後にこうゆう丸の電源でやっていただいても構いません。 その際は取扱説明書を持ってきてくださいね。
手巻きリールは、ダイワのタナセンサーを使用していますが、簡易的な糸巻き学習機能があり、 下巻きモードを使って最初の100mのデータを取り直す事でかなり誤差の補正が可能です。
取扱説明書なんてどこにいったかわからないよ!という方もおられるでしょう。大丈夫です。 メーカーサイトにアップされてる事が多いのです。一応ダイワとシマノだけリンクを貼っておきますね。
やっぱり道糸の色でタナをとりましょう
買ったばかりの新品のリールなら釣具屋さんがしっかり設定してくれてるでしょうからカウンタの狂いはないかも知れませんが、 使用を重ねる内に何らかの事情でリールのカウンタは誤差が生まれるものと認識した方がいいと思います。
いつかは誤差が出てくることを前提に考えると、自分のリールのカウンタが合っているかどうかを自分で確認する方法を知らなくてはいけません。 それにはどうしても道糸でタナを合わせるしかありません。
ですからカウンタだけに頼らず、道糸の色とマーキングを見てタナを合わせるのがもっとも確実な方法です。 タイ釣りをやる方は是非覚えてください。それは自分が釣るだけでなく周りの人に迷惑をかけないためにも必要なことです。
アマダイや泳がせ五目などの「底からのタナとり」
アマダイや豆アジの泳がせ等で行われる「底からのタナ取り」についてご説明します
コマセを使わない船釣りでは、全員が同じタナにあわせる必要はありません。 ですが、自分の仕掛けがどの位のタナになっているのかを正確に把握していないと、 釣れる可能性は低くなりますし、根がかりもしやすくなります。
ここでは、仕掛けを一旦海底まで落とし、底から正確に何メートル巻き上げるというタナの取り方になります。 巻き上げる高さは、リールのカウンタを見てもいいし、前述の道糸のマーキングで見てもいいです
正確にタナをとる
仕掛けを海底に落とし終えた時には、必ず道糸に糸ふけができています。 糸ふけがある状態でリールを巻いても、最初の内は糸ふけを巻き取っているだけで、仕掛けは底を離れていません。
それともう一つ、特に柔らかい竿を使っている場合、巻き始めてから最初の内は、徐々にオモリの重さが竿にかかって、 竿が曲がっていくだけでやはり仕掛けは底を離れていません。 仕掛けが底から何m離れたかがタナですから、これらの事に注意して正確にタナをとるには、 竿の曲がりに注意して下さい。巻き始めてオモリの重さが加わって、竿がそれ以上曲がらなくなった時が、 仕掛けが海底を離れた瞬間です。そこから必要なメートル数巻き上げてタナ取りをして下さい
底を取り直す時の注意
底からのタナ取りの場合、アタリがなければ再度底に仕掛けを落として、タナを取り直すという事を時々やる事があります。 この落とす時に、リールのスプールに指をかけて、ブレーキをかけながら落とすようにして下さい。 魚を脅かさないようにという事と、糸ふけを最小限に抑えるためです