船釣りでの潮の動き・速さについて、そしてそれを知る方法、ノットと時速キロの換算などについてご説明しています。

潮(潮流)の速さについて

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海の水(潮)には流れがある

海の水(潮)には流れがあります。速さや流れる方向は日によって違います。 また流れが止まっている日もあります。

潮の流れができる要因は、海流、潮の干満、風、地形などが関係しています。

一般的には潮が動いている方が魚の活性が高く、止まっていると低くなりますが、 止まっていても良く釣れることもあり、一概には言えません。 また、速すぎるとオマツリしやすくなるなど釣り辛さが出てきます。

潮の流れは、必ずしも海面から海底まで一様ではありません。 上と下で流れの速度が違うこともありますし、流れの向きさえ違うこともあります。 これを二枚潮と言います。このような日は他のお客さんとオマツリしやすいだけでなく、 自分の仕掛けが水中で絡んでしまうこともあります。

能生周辺の潮流

潮流というと、大潮の日は潮が流れるからいいという風に考える方が多いですよね。 能生近辺においては実はこれが当てはまりません。 大潮の日は潮が動かないかまたは北東からの潮(南西からの潮に比べて比較的よくない)になる事が結構多いです。 逆に長潮の日に潮がかっとぶなんてこともよくあります。潮の干満以外の風や地形、海流などの要素の影響が大きいからなのでしょう。

南西から北東方向に流れている(これを下がり潮と呼んでいます)日が6割位。北東から南西(これを上り潮と呼んでいます)が3割位。 潮の動きが悪い日が1割弱位というところでしょうか。 標準的な潮流の速さが0.4ノット位で、あまりありませんが速い日は2ノット近い日もあります。 上り潮よりも、下がり潮の方が比較的平均的に釣果がいい気がします。

一日の中で潮の速さが変わる事もありますし、方向が変わる事もあります。 またポイントによって潮の速さ、方向が全然違う事もあります。

潮を知る方法は

水中の仕掛けの状態を想像するためには、潮の流れをある程度把握できた方がいいです。 特にマダイ釣りの時はそうでしょう。仕掛けが漂う水深の潮流を知った方が、 断然有利になります。

しかしそれは容易ではありません。船も動いているからです。よくある勘違いがあります。オキアミを数匹水面に投げて流れ方を見る方法。 もし潮が速くても船がその流れと完全にシンクロしていればオキアミは真っ直ぐ下に沈みますし、 そもそも底潮の流れは表層ではわかりませんから、全然とは言いませんがあまり意味がありません。(この話は下で詳述。) あと釣れた魚が水面近くに来た時に流されていれば潮が速いと判断する方法。これも底潮が止まっていても表層の潮が流れていれば、 魚は流されますから、判断方法として適切ではありません。

潮の速さに関しては、ビシの中のコマセの減り方である程度の判断は可能なようです(早く減るようなら潮が速い)。 一部のお客さんが実際にやっています。100%ではありませんが、参考にできる程度の判断ができているようです。 自分のタックルで通常どの位の潮の速さで、コマセがどの位早く減っていくかを知っている必要があります。 また波の状況にもよりますのでその点はご注意ください。ただ、これも絶対ではありません。 理論上だけで言えば、底潮と船が完全にシンクロして流れているなら、ビシは潮の影響をまったく受けないはずだからです。

潮の向きについては、ひと流しし終えて再度同じ所から流し直すために船長が潮上に向けて船を移動させる時の方向を見れば、 その逆が潮が流れる方向だと推理することはできます。 ただし、次も同じ所を流す場合にしかこの方法は効果がありませんし、船長がちょっと反応を見ようと寄り道でもすれば意味がなくなります。

もし船上のある座席付近が一番アタリやすかったり、必ず一番先にアタったりするようなら、その方向に潮が流れている可能性はあります。 ただ釣れる釣れないは潮だけで決まるものではないので、それだけで一概に判断することはできません。

船上で潮の流れを正確に把握するのはなかなか難しいです。上記のような色んな情報から総合的に判断するしかないでしょう。

もっとも確実なのは船長に直接聞くという方法だと思います。 潮流計があるわけではないので、正確ではありませんが、ある程度は把握しています。 時々マイクでアナウンスもしています。

ノットと時速キロの関係

船長は潮が何ノット位で流れているのかある程度把握しながら流しています。

潮の速さは通常「ノット」という単位で表します。
1ノット=1.852km/hですから、「何ノット」を大体2倍すれば「時速何キロ」に換算できます。

また5倍すれば大体10秒間に進む距離(m)がわかります。
0.5ノットなら 0.5×5=2.5
10秒あたり、約2.5m流れるという計算になります。
これだと水中の仕掛けの様子が想像しやすいと思います。

潮と座席の関係について

一般的には潮下(つまり潮が流れていく方向)にあたる座席が有利と言われます。一番先に魚に接触できること、それとコマセが集まりやすくなることがあるからです。 一番先に魚に接触できるというのはその通りです。特にコマセを使わない釣りでは先に魚と接触する方がかなり有利になります。 ですがコマセについてはそうはならないこともあるし、またそうならないように実は船長は気を配って操船をしています。そこのところを詳しくご説明します。

アンカー釣りで潮が後ろに向かっている場合の水中の様子画像

これはアンカー釣りをしている時の様子です。潮は後に向かって流れています。コマセは後に流れますので魚も後の方から船に向かって集まってきます。 なので後の座席の方が有利になります。

流し釣りで潮に乗せて船を流している場合の水中の様子画像

今度は流し釣りをしている様子です。潮は後に向かって流れています。船も潮にシンクロさせて後ろに流しています。 すべてが一緒に流れているので船からの見かけ上は仕掛けもコマセも真下に向かっています。 この状態だと魚は真下から浮いてくる形になりやすいので、潮の速さにもよりますが後の有利さ、前の不利さはだいぶ解消されて平均化されます。 現実にはもっと複雑なのでこんなにキレイにすべてがシンクロすることはありませんが、わかりやすくするために単純化しています。でも船長はこれを理想形としてイメージに持っています。

流し釣りで二枚潮の上潮に乗せて船を流している場合の水中の様子画像

これも流し釣りをしている様子です。今度は二枚潮です。上潮は後に向かって、宙・底潮はややゆっくり前に向かって流れています。ここでは船を上潮に乗せて流しています。 船からの見かけ上はかなり早くコマセも仕掛けも前に向かいます。コマセが効いて魚が浮く前に船はどんどん後に流れていくので基本的には魚が釣れにくい状況になります。 潮の速さにもよりますが前の人が釣れる可能性は若干あります。

流し釣りで二枚潮の底潮に乗せて船を流している場合の水中の様子画像

これも流し釣りで二枚潮(先の例とまったく同じ潮)です。でもここでは船を宙・底潮に合わせて流しています(ここが先程と違うところ)。 スクリューを回して船を上潮に逆らって前進させるわけです。道糸は潮に押されて後ろに流れるので潮がかなり速く後ろに流れているように感じますが、船と宙・底層の潮はシンクロしているので、水中ではコマセと仕掛けは真下に向かいます。 魚は真下から浮いてくる形になりやすいので、潮の速さにもよりますが座席の有利不利はだいぶ解消されて平均化されます。

この項の一番最初に「潮下にあたる席にコマセが集まりやすいとは限らないし、そうならないように船長は工夫している」と言った意味がわかっていただけるでしょうか。同じ潮でも船長の操船次第で座席による有利不利は変わってくるのです。

以上の例では上潮と底潮にのみ注目していますが、実際には風の影響も受けるため、それも考慮して操船しなければいけません。 船の流し方について、もっと詳しい説明が欲しい方は下の関連記事をご覧ください。

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二枚潮についてもう少し詳しく

上越地方での二枚潮の実態

二枚潮とは上記でもご説明した通り、上層の潮と下層の潮の流れる方向あるいは流れる速さが違う状態です。珍しいものではなく、日常的に起こっています。 ただ誰の目にも明らかなレベルの二枚潮がそう多くないというだけです。基本的に釣り人にはやりにくい状況になります。

特に晩秋から春にかけて強い季節風が吹く時期は上層の潮(大体水深5m位までの事が多い)だけが風に押されてかっ飛ぶため起こりやすいです。 またマダラのポイントなど水深が深いポイントはほぼ日常的に二枚潮の事が多いです。

さらに中層の潮までも違う三枚潮もありますがここでは除外します。

二枚潮が釣り人にどういう影響を及ぼすか

オマツリが起こりやすくなります。みんなが一斉にタイミングを合わせて仕掛けを投入し、一斉に仕掛けをまきあげればそれほどオマツリせずにすむのですが、 大抵の釣りものではそうもいきませんので、そういう仕掛けの上げ下げのタイミングでオマツリが発生する事になります。

また仕掛けが浮き上がりやすくなります。これは船長の技量にも関係する事です。船を低層の潮にシンクロさせて流すのが操船の基本ですが、 それが非常にやりにくくなります。船の流れる速度・方向と底層の潮の流れが不一致になると、フカセ仕掛けの場合は底潮に流されて浮き上がりやすくなってしまうのです。

道糸に弛みができるので、誘いや合わせが効きにくくなります。アタリもぼやけます。

二枚潮である事を知る

探っているポイント周辺海域が二枚潮である事を知るにはいくつかの見方があります。

仕掛けを投入している間の道糸の傾きと、仕掛けがタナに着いて停止してからの道糸の傾きが違うことでわかります。 これは投入中は道糸が上層の潮に流されますが、タナに着くと道糸にビシの重さがかかって下に引かれるためです。

または、仕掛けをタナで静止させている際の道糸の傾きと、魚がかかった時の道糸の傾きが違うことでもわかります。 これは魚の引きが加わってさらに道糸が強く下に引かれるためです。

道糸の傾きの変化によって二枚潮である事を知る方法

他にも、マダイの仕掛けが頻繁にテンビンや道糸に絡むようだと二枚潮である可能性があります。

二枚潮対策

二枚潮の時は、普通の時に比べて気をつけるべき事が増えます。いくつかご紹介しましょう。

投入時は途中で一時停止

オマツリを防ぐための投入方法です。仕掛けをタナまで落下させていく途中で、水深にもよりますが1~3回程度落下を数秒間ストップさせます。数秒後に再び落下させます。 指でスプールを押さえてもいいし、リールのクラッチをつないでもいいです。 数秒間停止している間はビシやオモリが道糸を引っ張ってくれるので道糸の傾きが少し改善されます。

仕掛けは重めを意識

特にマダイ釣りの時に二枚潮の時は仕掛けが浮き上がりやすくなりアタリが遠のく場合があります。 二枚潮である事がわかった時点で仕掛けを重くする選択肢を意識しておきましょう。

アワセは大きめに

アタリがあって合わせた時に、自分ではしっかり合わせているつもりでも、実は道糸のたるみのせいで魚に対してはアワセが効いていない事があります。 二枚潮の時は通常より大きめに合わせた方がいいです。必要ならリールを巻いて合わせる『巻き合わせ』もした方がいいです。

魚がかかった時のオマツリ回避

魚がかかって巻きあげてくると、魚が上層付近に来るに従って速い潮に流されるようになります。これで他の人とオマツリしてバレるケースもあり得ます。 これを防ぐためには周りの人が自分の竿とオマツリしないか気をつけて見守ってあげる事が必要です。 また魚がかかっている人も無理のない程度に早めに魚を上げるように意識しましょう。

空の仕掛けは早く上げる

空の仕掛けをたぐり上げてくる時は早くしましょう。仕掛けが流されて他の人に迷惑がかからないように注意しましょう。

実際の潮流の例

下の2枚の写真は実際に釣りに出ている時の潮流計の写真です。いずれも水深60m位のポイントです。

潮流計の画面表示写真画像 潮流計の画面表示写真画像

上の写真で見方を説明します。一番上の数字『0.3 63』というのは、63°の方向に0.3ノットで潮が流れているということです。 60°の方向というのは北を0°東を90°南を180°西を270°とした表記なので、東北東に近い方角です。 一番上が水深5mの潮。二番目が40m位に設定されており、三番目が底付近の潮です。

2つの画像を見てわかる通り、潮流というのは上から下までスピードも方向も一様ではありません。 船長はこのような状況の中で、どのタナで振ったコマセがどのように流れていくのか、水中で仕掛けがどのようになっているのか、 どの方向にどの位のスピードで流すのが最善なのか、経験と勘と釣れ具合で見極めていきます。

たまにコマセマダイ釣りにおいて水面にコマセを手で撒く方がおられるのですが、それがどれほど自分を含めたお客さん全体に迷惑がかかるか、 わかっていただけるでしょうか。特に二番目の写真の時にそれをやられたら、そのコマセは表層を漂う間にあらぬ方向に流れていき、 船やビシのプレッシャーのない仕掛けの届かないところでマダイを集めることでしょう。

因みに、潮の流れを知るためにオキアミを数匹水面に落とす方がたまにおられると前述しましたが、 2枚めの写真の潮のケースでちょっと考えてみましょう。

水面に落としたオキアミを船上の人が見た時の見かけ上の流れ方説明図

コマセマダイ釣りの釣り人に主に関係するのはあくまでも底付近、もしくは中層の潮です。 底付近の潮はオレンジのベクトルです。 それに対して船上から水面のオキアミを見た場合は、見かけ上緑の点線のように流れていくように見えます。 これはもう底の潮とは方向もスピードもまったく関係がありません。 底と表層では潮が違うことも多いですし、船自体も動いているので、あまり意味がないのです。