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オーバーホールとは何か
『オーバーホール』とは、リールを部品単位に分解、整備して、新品時の状態に戻す(近づける)作業のことです。 『修理』はある特定の不具合の原因を解消しますが『オーバーホール』の場合は製品全体に渡って整備をします。通常は製造メーカーに依頼します。
竿と違ってリールは精密な機械です。海という過酷な環境で、始終力仕事をやらされるわけで、使用する内に部品の摩耗や腐食、海水や汚れの侵入などで、 使用感や性能は落ちていきます。どこかでオーバーホールをしないといざという時に大物をバラしてしまったり、釣り自体が継続できなくなったりしてしまう可能性があるのです。
器用な人は自分でやっちゃうケースもありますが、部品一つでもなくなれば大事ですし、最近のリールは気密性を高めるために素人には分解がしにくいものもあります。 自信のある人以外はやめておいた方がいいでしょう。
オーバーホールを考えた方がいい時
ではいつどんなタイミングでオーバーホールをしたらいいのでしょう。釣行回数が多くてマメな人は年1回位やってるみたいです。
でもオーバーホールもただじゃありませんからね。最低でも数千円、高価な部品を交換する場合は万以上という事もあり得ます。
釣行回数がそう多くない人などは毎年オーバーホールなんてもったい気がしますよね。 人によってはまあ2年に1回とかあるいはもっと期間を長くしてもいいかも知れません。 でも注意が必要なのですが、例えば海水の侵入により内部に塩やゴミが溜まったりすると使用が少なくてもオーバーホールが必要になるケースもあります。 久しぶりに釣りに行ってみたら、前回は問題なかったはずなのに今回は全然リールが使い物にならなかったという事も有りうるのです。
そういうわけでどの位の期間でオーバーホールを検討すればいいのかというのは、なかなか答えが出しにくいです。 ただ私は少なくともリールの不調・違和感を感じた時にはオーバーホールに出してみることをオススメします。 不調を感じた部分の修理だけをすればいいじゃないかという考え方もありますが、どこか不調が出てくる位使用したなら他の部分も劣化している可能性は高いと思います。 以下、故障とまではいかないけどちょっと調子が悪いというよくある例をご紹介します。
- ドラグの滑りがスムーズでない
- 両軸リール・電動リールであれば一番最初に違和感を感じる事が多いのがドラグです。 魚がかかって引っ張られた時に一気にドラグが滑ったり急に止まったりして竿がガクガクなるケース、 少し締めると全然ドラグが滑らなくて少し緩めると今度は全然巻けなくなり丁度いいドラグ調整にできないケース、 空で巻き上げてくる時に竿がガクガクなるケース。これらは全てドラグの不調が原因です。
- ハンドルでの巻きがスムーズでない
- ハンドルを回転させるとゴリゴリ感があったり、異音がしたりするケース。これもよくあります。
- クラッチレバーが重い
- クラッチを切ったり繋いだりしようとした時にスムーズにクラッチレバーが動かないことがあります。 ひどい時は力を入れないとクラッチを切れなかったりします。 また、通常はクラッチを切った状態でハンドルを回すとクラッチが繋がりますが、これが繋がらずクラッチレバーでしか繋げられないケースもあります。
- クラッチを切った状態での仕掛けの落下が遅い
- スプールがフリーの状態でスムーズに回転しない状態です。仕掛けがなかなか落ちていかず、ひどい時は軽い仕掛けだとまったく落ちていないこともあります。 但しこれはスプールのブレーキ(遠心力ブレーキやマグネットブレーキ)を効かせすぎている可能性もありますので、まずブレーキの調節つまみを緩める方向に回してみてください。
こんな軽い症状が出て、まだ何とか使えるという状況であっても、いいタイミングとみてオーバーホールに出した方がいいと思います。
このような症状が出なくても定期的なオーバーホールはやっておきたいという方は、 メンテナンス記録をつけることをおすすめします。詳しくは下記の記事をご覧ください。
オーバーホールの注意点
オーバーホールを依頼するにあたっていくつか注意すべき点をご紹介します。
- ある程度時間がかかる
- オーバーホールの作業そのものにかかる時間だけでなく、順番待ちの時間や製品の運送にかかる時間もあります。 私の今までの経験ですと出してから戻ってくるまで通常2週間から1ヶ月ほどかかっています。オーバーホールキャンペーン中などはもっとかかる可能性もあります。 オフシーズンなど時間的に余裕がある時にした方が無難です。 ただし、メーカーに依頼するのではなくリールのオーバーホールを専門にやってる業者などに依頼する場合は個別に納期の相談ができる場合もあるかも知れません。
- 期限がある
- メーカーは製品の部品を永久に保持しているわけではありません。通常は製品の製造をやめてから10年位で部品が入手できなくなります。 そうなればオーバーホールができないという事になります。 メーカーによっては部品の在庫状況などによりもうすぐオーバーホールができなくなるという製品をホームページ上で告知している場合もあります。 そういう情報を活用したりしていいタイミングでオーバーホールに出しておくと、結果としてその製品を長く使えるようになるかも知れません。
- 純正パーツのみでないとオーバーホールできない
- カスタムパーツを使っている方もおられるかも知れませんが、それを付けたままだとオーバーホールを断られるケースがあります。 カスタムパーツを下手にいじって壊してしまっても保証ができないからです。カスタムパーツは純正パーツに取り替えてからオーバーホールに出しましょう。
オーバーホールを依頼する方法
オーバーホールをメーカーに依頼する場合は釣具屋さんに持ち込みます。釣具屋さんから流通ルートに乗ってメーカーに届けられ、また同じルートで戻ってくることになります。
メーカーのホームページを見れば標準的な技術料は載っています。ただしどの部品を交換するかは事前にわかりませんので、部品代はどの位かかるかわかりません。 でも依頼の際は料金の上限を設定しそれを超えそうな場合は連絡をもらうということもできるので、予想外の出費になることはありません。
どこかに不具合・不調がある場合は、その説明を付け加えておけば、該当する部分を確実に診てもらうことができます。
電動リールをオーバーホールに出す場合は、電源コードも一緒に出してください。不具合の要因にコードも関係していることもないとは限りませんし、 コードに問題がないかもチェックしてくれるからです。
メーカー以外の専門業者に依頼する手も
メーカーに依頼する他にオーバーホールを専門にやっている業者に依頼するという方法もあります。 こちらは製品の受け渡しに関する配送料金が別にかかってしまいますが、急ぎの場合は納期の相談もできる場合があるので状況に応じて使い分けるといいと思います。またメーカーが修理対応しなくなった機種でも対応してくれるケースがあるようです。 ネットで検索すればいくつか業者が出てきますよ。
ちなみに一例としてこんなところです。 → 『Selfish』