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ハリの外し方
汚れてもいいタオルを使って魚をつかみます。素手でつかむとヒレが刺さったりして痛いのでタオルを使います。 フィッシュホルダーを持っていればもちろんそれでも構いません。
小型のプライヤーを使ってハリをつまんで外します。この時ハリスや結び目にプライヤーが触れないように、ハリだけをつまむようにしてください。結び目を痛めると次に魚がかかった時に切れてしまうかも知れないからです。
ハリを飲み込まれてしまって、プライヤーではハリが外せない場合もあります。 そのような時はハリ外しを使います。 ハリ外しをお持ちでない方は船長にご相談ください。
小さい魚や、持って帰っても困るような大きな魚は船長にご相談いただいた上で逃がしていただいて構いません。 但し魚が生き延びられるようなやり方で逃がしてあげてください。リリースの方法は「リリースについて」をご覧下さい。
釣れた魚の血抜きのやり方
エラ周辺の膜を切って、海水を張ったポリ容器(船に常備されています)に入れ、数分血を抜きます。魚が生きている内にすぐにやってくださいね。
エラブタを開くと中にエラが見えます。エラブタは魚によってはカミソリのようになっているので手を切らないように注意してください。
ナイフ等をエラ穴の真ん中あたりに突っ込んで、エラの胸ビレ側にある膜の部分(少し奥にあるので見えにくいかも。)を切るように、 中骨の方へ切り進んでいきます。エラは切らなくていいです。 膜の奥に太い血管が通っているので膜を背側に切り進んでいけばその血管も切れて血が出ます。 血管の位置は中骨の下辺りです。 中骨に向かって背側へと切り込みますからナイフの刃は背側を向くようにしてください。
最初どくどくと血が出てたはずなのにすぐ止まってしまって血が出切らない、という事が時々あります。 血液が海水に触れると粘性が出て血が出にくくなるんですね。 そういう時はしばらく魚を海水の中で振ってやってください。 そうやってる間は粘性の出た血液が離れていくので血が出続けます。
いつまでもバケツに入れっぱなしにしておくと鮮度がどんどん落ちてしまいますから、 数分血抜きをしたら、すぐにクーラーで冷やしてください。
サバ、ソーダガツオ(マルソーダ)等、血の気の多い魚は、エラを取り去って、 頭を強引に背の方に曲げて背骨を折り、血抜きをして下さい。この締め方を”サバ折り”と言います。
ウマヅラはエラの穴にナイフ等を差し込んで血抜きして下さい。
冷やしましょう
- クーラーに氷を入れて、海水を入れておきます(氷がかぶる程度)。
- 血抜きが終わった魚をクーラーに入れて冷やします。
- お帰りの際は、クーラーから水を抜いて、十分に氷を補充して下さい。 可能なら、下に氷をしいて、その上に魚を乗せた方がよりいいです。 氷が融けた真水に魚が浸かると水っぽくなってしまうからです。 魚が多い場合は水を抜くと下の魚が重みでつぶれてしまうので、 水氷のままの方がいい場合もあります。 (ただし車内での水漏れに注意のこと。)
私はこの方法が誰でも簡単にできて、魚が多くてもまんべんなく芯まで冷やせていいと思っていますが、実は欠点もあります。一つは水氷に長時間つけたままだと冷やし過ぎになってしまう可能性。 もう一つは氷が融けて塩分濃度が低下すると魚に水が染み込んで水っぽくなってしまうこと。 魚の釣れ具合や帰宅後の処理までの時間などにもよりますが、それほど多くないのであればやはり最後は水を抜いて氷だけにした方がいいかと思いますし、その際は厚手の大きなビニール袋に魚を入れて密封したり、 氷の上にスノコを置いたりして、直接氷につかない方がよりいいと思います。 もし水氷のままであれば塩を入れて低下した塩分濃度を戻すといいと思います。また氷が融けやすい気温の高い時期は釣行中でも塩を入れた方がいいかも知れません。
イカについては、直接水や氷に触れないように、ジップロック等の密封できる袋をご用意いただき、 その中に入れた状態でクーラーに入れてください。
釣りっぱなしはいけません
釣り上げてハリを外した魚をオケに入れて放置してはいけません。オケに水が張ってあっても駄目です。 どんどん鮮度が下がってしまいます。 冬ならまだしも暖かい日に長時間放置するとくたっとした状態で硬直し魚の色まで変わってしまって、せっかく釣った新鮮な魚が台無しです。 こうなるともうお刺身で食べるのも躊躇してしまいます。こんな魚を後述する活け締めにしたって正直言って意味がありません。
また苦しみながら徐々に衰弱して死んでいった魚は味が落ちてしまいます。釣った魚はできるだけ早く締めて(絶命させて)できるだけ早く冷やすことが重要です。
- 死んでから処理してはダメ。生きている内に早めに締めて早めに冷やすべし
- オケは魚を貯める場所ではない。できるだけ短時間で締めるべし
もっといい持ち帰り方
上記に書いた水氷での持ち帰りの方法は、万人が簡単にできてどんな釣況でも鮮度を落とさずしかもそこそこ美味しくいただける方法です。ですが欲を言えばもっと手をかけるやり方はあります。
釣れたらすぐに脳を破壊して締め、血抜きし、熟成させてから食す場合はさらに神経じめまで行います。 そして魚を新聞紙にくるみビニール袋に入れて氷の入ったクーラーに保管します。全体が冷やされるように氷に包まれるように保管してください。 これだと魚を冷やしすぎたり、水に浸かったりということがなくてより美味しくいただけると思います。
ですが欠点もあるんですね。まず手間がかかること。また水氷と違って芯まで冷えるのに時間がかかりますから保管状況が悪ければ長期の熟成には向かなくなるかも知れません。 氷に包まれるように上手に保管した方がいいでしょう。 それに魚が多い場合は下の魚が重みで潰れてしまいますから詰めすぎないようにした方がいいです。
よく釣れる時は魚を冷やすのが遅れて鮮度低下を招いてしまうかも知れません。 美味しく食べたい!と思えるコンディションのいい魚が釣れたらそれだけはこのやり方にしたらどうでしょう。 また、釣りの種類によって持ち帰り方を変えてみるのも一手かと思います。 例えば泳がせ五目などは釣れる数はそう多くはありませんが美味な高級魚が対象となります。 ですからこのような手間をかける持ち帰り方が適しているでしょう。
また釣った日に食すとかなら、血抜きだけでも十分です。脳破壊や神経締めは熟成のためのポテンシャルを保つためのもので、 その作業自体が魚を美味しくするわけではありませんので。
釣れた魚の処置に関しては、津本光弘さんの動画が非常に参考になります。よかったらご覧ください。
活け締めに便利な道具
脳を破壊するのに出刃の先やハサミを使ってもできない事はないのですが、マダイなど骨の硬い魚だと非常に危険です。 なので専用の道具を使った方がいいと思います。手鉤(テカギ)や活け締めピックなどがいいです。 凝る人は自分で使いやすい形状のものを作って使ったりしていますよ。
脳締めのやり方
脳締めは脳を破壊することでエネルギー(旨味の元)の消費を止め、 また魚の動きを止めることで身の傷みを減らすことができます。
エラブタの縁の線よりも内側にもう一つ線があります。 その線の向かう上方向、目の斜め上辺りに手鉤や活け締めピックを脳に達する位深く突き刺してください。
写真はマダイの場合です。
頭の骨は硬いですからケガをしないように。ナイフでもできないことはないですが危ないですよ。
神経締めのやり方
神経締めは神経の通っている場所(背骨に沿ってある)にワイヤーを通して神経を破壊することで、死後硬直を遅らせ(腐敗までの時間を伸ばす)、 さらにエネルギーの消費を止めることができます。
神経締めをやった魚体は非常に柔らかいです。グニャッとなります。 歯応えが欲しい方は、釣ってから短期間(例えば2日後位までに)で消費するのであれば、 神経締めはやらなくてもいいと思います。
マダイでご説明します。神経締めのワイヤーを入れるポイントは一般的に4つあります。
- 鼻の穴から尾びれの方に向かって入れる
- 顔の前面、鼻の穴の前辺りに骨がちょっとくぼんだポイントがあるので、そこからまっすぐ尾びれにむかって入れる。 入れにくい場合はアイスピックのようなもので表面に穴を空けてから入れたらいいです。
- 目から尾びれ方向に入れる。
- 魚の尾びれの前辺りで背骨を切断し、そこから頭の方に向かって入れる。
鼻の穴から入れるのが一番面倒がなくていいですが、慣れないとなかなかうまくいかないことも。 一番確実なのは魚の尾びれの前辺りで背骨を切断してそこから入れる方法です。 ただこの方法は身を切断することになるので、切断した後は水氷に直接つけない方がいいと思います。
下の写真は尾びれの前辺りを切断してそこから頭の方に向かって入れているところです。
写真だとわかりづらいので図にすると下のような構造になっています。背骨の上が神経が通っているところ。 背骨の下が血管が通っているところです。
神経締めは金属のワイヤーが必要です。