船釣りで釣った魚を保管する方法、熟成の方法、真空パックを使った冷凍保存などについてご説明しています。

魚の保管方法について

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熟成のための保管

あんまり釣りに馴染みのない方は、釣りたての魚は新鮮だから美味しいと考えがちです。釣りたては釣りたてで歯ごたえなどの面ではメリットがあることを否定はしません。 しかしながらほとんどの魚は、数日寝かせてから食べた方が旨味が増して美味しくいただけます。よくわかっている釣り師は釣った魚をあえて寝かせて美味しくなった頃を見計らっていただきます。寝かせて熟成させる事をエイジングとも言います。ここでは、私が数日寝かせておく方法をご紹介します。

熟成させるには釣った段階で血抜きをするなどの処置が必要です。結構手間がかかります。 また熟成はやせ細ったいかにも美味しくなさそうな魚を美味しく変身させるような魔法ではありません。 なのでコンディションの良い美味しそうな個体を選んで適切に処置して熟成させることをおすすめします。

下はお客さんが5日間熟成させたアカムツの半身です。

5日間熟成させたアカムツの片身写真画像

釣り場での処置

血抜きは最低限やるべし

熟成させる魚は最低限釣った直後にしっかり血抜きをしておいてください。血が残っているとどうしても腐敗のリスクが高くなってしまいますし、味わいも落ちます。

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長めに熟成させるなら脳締め、神経締めも

時間的に余裕があるなら、合わせて脳の破壊による活け締めと神経締めをやっておくとよりいいです。 順番としては脳の破壊→血抜き→神経締め、がいいと思います。

神経締めをやると身はかなり柔らかくなります。数日中に食べる場合や歯応えの欲しい方はやらなくてもいいと思います。

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締めて血抜きをした魚は早めにしっかり冷してください。 冷し過ぎもあまりよくはないのですがよほど長期で熟成させるのでなければそう問題ではありません。 魚が冷えてないのはもっとも悪いです。腐敗リスクが高まります。

クーラー内に保管する時、魚の自重や他の魚の重みなどで身がグダグダにならないように注意してください。 できれば新聞紙などに包んだ上でビニール袋などに入れて直接水や氷に触れないように保管した方がよりいいです。

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三枚におろしての熟成

次は家に帰ってからの熟成の方法です。まずは魚を3枚におろして熟成させる手順です。あとでおろさずに熟成させる方法もご説明します。

ここではクーラーの中で保管していますが、それじゃ面倒だ!という人は冷蔵庫に保管でもいいです。でも一定の湿度があった方がうまく熟成できるようですけどね。 また冷蔵庫に入り切らない大きい魚のこともあるので、クーラーでの保管も覚えておいた方がいいです。

さらにキッチペーパーでくるむ前に塩をふる『塩締め』という方法もあります。旨みが凝縮されて美味しくなるようですが、これは現時点で私もやったことがないので詳しくご説明できません。 興味のある方は調べてみてください。

魚の熟成を失敗させない5つのポイント

とにかく熟成のポイントはこの5つ。

  1. 予めよく洗う
  2. 血合いなどをキレイに取り除く
  3. 水気をよく拭き取る
  4. 熟成中はなるべく空気に触れさせない
  5. ドリップに浸からないようにキッチンペーパーをマメに交換

この5つが大事です。熟成は一歩間違えると魚を悪くしてしまうリスクがあります。食中毒にならないよう、細心の注意をはらってください。

トリミング

熟成させた後、私は念のためにトリミング(表面を薄く削りとる)をしています。魚の身の切り口(切断面)に雑菌が繁殖している可能性を考慮してです。 皮がついている(皮で守られている)部分以外の全ての表面を包丁で薄く切り取ります。念のために1回切る度に包丁を洗浄します。

三枚におろさず丸のままでの熟成

あんまり大きい魚でなければ丸のまま冷蔵庫に入れられますから、3枚におろさずに熟成させることもできます。 3枚におろすとどうしても身の切断面に菌が繁殖する可能性がありますが、おろさなければその分リスクが下がってかえっていい面があります。

エラと内臓とヒレだけとって、血合いもこそげ取り、よく洗って(内部もよく洗うこと)水気を拭き取り、お腹の中にキッチンペーパーを詰め、体もキッチンペーパーで包み、全体をラップで巻いて、冷蔵庫で保管してください。 お腹の中は血合いはよーく落としてキレイにしてくださいね。丸のままで熟成させる場合血合い部分が一番ウィークポイントになりますから。釣り場での血抜きもしっかりしておいた方がいいです。 それとキッチンペーパー(もちろんお腹の中のも)は濡れたら交換です。

血合いをキレイにとるにはササラが便利です。

この方法なら切り口が少ないので空気に直接触れる腹骨の部分以外はトリミングは必要ないかと思います。 熟成後さばく前に全体を洗ってください。もし予め頭を落とすならその切り口はトリミングした方がいいです。

どのくらい熟成させるか

釣ったその日は歯ごたえが楽しめますが、日が経つにつれやわらかくなり、 その代わり旨みが増してきます。どの位寝かせるかはお好みです。通常は2~3日位。長くやれば旨味は増しますが腐敗のリスクとの相談です。

魚によっては2~3日よりもっと長く5日以上とか熟成させた方がいいものもあります。

鮮度の落ちやすい魚は要注意ですし、釣った後ずっとバケツに入れっぱなしのようだと、 その時点でかなり鮮度が落ちてしまいますからあまり一概には言えませんが、 キチンと釣れた後の処理をやっていればイナダやタイ等は少なくとも3日はもつと思います。 いずれにしても釣ったら血抜きをして早めに冷やしましょう。

料理人のお客さんから教えていただいた根魚の熟成法

料理人のお客さんから教えていただいた根魚の熟成保管方法です。まず内臓だけ取り出します。 胃や腸も食す場合は洗った後湯通ししておきます。こうしておけばしばらく持つそうです。 ウロコはとらずに体全体を濡れ新聞紙で包み、ビニール袋に入れて冷蔵庫で保管。大きさや魚種にもよりますが3日ほど寝かせるそうです。

すぐにさばけないのでクーラーに入れっ放しにする場合

釣りを終えて帰ってもすぐには魚をさばけないという事もありますよね。魚の種類にもよりますが、早めにキチッと芯まで冷やした魚ならば釣ったままクーラーに入れっぱなしでも数日は大丈夫ですよ。 魚が多い場合は全ての魚が冷えるようにクーラー内の配置に注意すること。氷は絶対融けきらないように。ただコマセ釣りの場合はお腹にコマセが残ってるかもしれないのでせめて次の日にはさばいて内臓を出した方がいいと思います。

冬ならいいですが暖かい時期だと氷が融けるのが早いですよね。最初に海水と氷で水氷を作って保管しても、 氷を足し水を抜き…とやっている内に段々と水氷の塩分濃度が低下して真水に近づいてきます。 真水に魚を浸すと味が落ちてしまいますので、ご注意下さい。塩を投入して塩分濃度を上げてやるといいです。

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冷凍保存

自分で釣った魚は間違いなく新鮮なのでできることなら冷凍せずに食したいところですが、すぐに食べられない時や数釣れた時などどうしても冷凍保存したい場合はあります。 ここではなるべく冷凍による劣化を防ぐための方法についてご説明します。

冷凍保存で注意すべきこと

魚を冷凍する時は、内臓を取り去った上で、よ~く水分を拭き取ってください。 それからラップでぴっちりと包みなるべく空気に触れないようにして、さらにフリーザーバッグなどの冷凍保存袋に入れて冷凍します。 できればアルミトレーなど(熱伝導率の高い金属)に乗せて冷凍庫に入れると早く冷凍されて劣化が抑えられます。

味噌や醤油など調味料に漬けて下味をつけた上で調味料ごと冷凍すると冷凍による劣化を感じにくいです。

解凍する時は冷蔵庫で解凍するのがベストです。自然解凍や流水解凍、電子レンジ解凍など比較的速く解凍する方法だとどうしてもドリップ(汁)が出てしまいます。このドリップには旨味が含まれるので味が落ちてしまうのです。冷蔵庫解凍だとこのドリップをかなり抑えることができます。ただ、この方法では半日から下手をすると終日に近いレベルで時間がかかります。 時間に余裕を持って解凍を始めましょう。

真空パックを利用

家庭用真空パック機を使うと、保存による魚の劣化がだいぶ緩和されます。 長期間冷凍保存した時など、普通に冷凍したものとは味や食感が全然違います。 干物などは冷凍するとパサパサしてしまう事がありますが、それもだいぶ防げます。 美味しく食べられる期間が倍以上に伸びるケースもあります。 お客さんにも使っている方がおられますよ。

冷凍だけでなく冷蔵にもちろん効果があります。熟成保管に使用される方もおられます。

家庭用の真空パック機は大体1万円台で買えます。安いものは1万円を切るものも。そんなに高くはないですよ。

急速冷凍庫を利用

-60℃の家庭用冷凍庫を使うと劣化が極めて抑えられます。 -60℃の超低温ではタンパク質の分解や脂肪の酸化がかなり抑えられるので、普通の家庭用冷蔵庫での冷凍とはまったく次元の違う冷凍保存ができます。 マグロの遠洋漁業でも-60℃の冷凍保存が採用されています。少ないですがお客さんにも使ってる方がおられますよ。

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