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肝を味わう
肝とはすなわち肝臓のこと。魚の肝には脂や旨味が詰まっています。これを食さず捨てちゃうのはあまりにもったいない。 魚ならあん肝、魚以外ならフォアグラとかレバ刺しなど肝を食す料理は巷にたくさんあります。是非釣れた魚の肝も料理して食べてみてください。
どれが肝なのかわからないという方は、右記事に写真がありますのでご覧ください。 → マダイの白子、真子、肝の写真
肝を味わう対象となる魚
基本的にすべての魚が肝を持ってるわけですが、シロギスとか小さい魚は肝も極小ですから対象外ですし、フグとか毒魚は危ないからやはり対象外ですね。 あと深海の大型魚では肝を食べられないものがあります。こうゆう丸が釣行する海域ではイシナギ位だと思います。
マダイや根魚(ソイ・メバル系、ハタ系、カサゴ系、ムツ系など)、マダラ、ヒラメ、ワラサ、ウマヅラ・ウスバハギ、カレイなど、多くの魚が肝を使った料理を楽しめます。
下処理
肝を取り出す
魚をさばく時に包丁で肝を傷つけないように注意してください。特にワタを出すためにお腹を割く時ですね。刃先をあまり深く中に突っ込まないようにしてください。
肝をお腹から取り出す時も膜で体と繋がってますのでそーっと取り出して指で切るか必要に応じて包丁の先で切り外してください。
臭みを抜く
血管に血が残っていますので、肝をグチャグチャに壊さない程度に血管を取り除きます。食感にも影響するのでできるだけとりましょう。 どうしても取れないものは包丁の刃先や爪楊枝のようなもので穴を開けてから水の中で手で軽くもみできるだけ血を出します。
さらに臭みをとる下処理をします。色々方法があります。お酒や醤油に少々漬けたり、塩をふって1時間ほどおいたり、さっと湯通し(すぐに氷水で粗熱をとる)したりして臭みをとります。 大きい肝じゃなければ、お酒で洗って軽く湯通しすれば大抵は十分だと思います。
寄生虫について
肝に寄生虫がいる事もあります。生で食すと腹痛などを起こす場合もありますので刺し身の場合は一応気をつけてください。 火を通せばただのタンパク質ですから大丈夫です。細かくたたいたり裏ごししたりするなら死にますのでこれも大丈夫です。
肝を使った主な料理
肝和え、肝醤油
肝を使った釣り魚料理と言うと一番に挙げられるであろう料理です。さっと湯通しした肝を裏ごしして臭みよけにお酒などを少し混ぜてソースを作ります。 それを薄造りのお刺身に和えておいてもいいし、最初からソースに醤油を混ぜて肝醤油として刺し身をその都度つけて食べるようにしてもいいです。 ハッキリ言って美味しいです(笑)
お客さんが作った料理をご覧ください。 『ウスバハギの肝醤油』
肝の漬け(づけ)
お刺身の漬けのように、肝を醤油ベースのタレに漬け込みます。そして取り出したら拭き取ってそのままおつまみに。最高の肴です。
肝のカルパッチョ
カルパッチョにしても美味しいですよ。
レバ刺し
カルパッチョと同じようなものですが、塩とごま油でレバ刺しのようにいただけますよ。
おろしポン酢
さっと湯がいておろしポン酢で。
お客さんが作った料理をご覧ください。 『マダイの肝のおろしポン酢』
アラ汁、鍋、煮付け、ソテー、炊き込みご飯
これらの定番魚料理も肝を一緒に料理するだけでコクや旨味が増してだいぶ違ってきますよ。
肝味噌
細かく叩いた肝と味噌を混ぜて肝味噌を作ります。あと、お酒や味醂、醤油、青ネギなどはお好みで。
できた肝味噌は魚の切り身に塗ってホイル焼き(一日肝味噌に漬け込んでも美味しい)にしたり、鍋の味付けに、そのままご飯のお供やお酒のおつまみに、と色々使えます。
肝の酒蒸し
文字通りの酒蒸しです。お酒のお供に最適です。
あん肝もどき
大きめの肝かもしくはそれなりの数の肝を集めればあん肝のようなものを作ることができます。できるだけ血管を取り除いた(多少肝が崩れても可)後、塩とお酒をふって少し置き臭みをとり、アルミホイルでソーセージ状にしっかり形を整え、 蒸し器で20分ほど蒸します。これだけ。青ネギ、もみじおろし、ポン酢等でどうぞ。
少量の肝は
まとまった量がない場合も工夫次第で美味しくいただけます。
さっと茹でてポン酢で食べたり、刺し身に添えたりしてもいいです。なめろうに混ぜても美味しいですよ。
お客さんが作った料理をご覧ください。 『マダラの肝と心臓のゆでポン酢』
味噌汁に入れても美味しいです。いつもの味噌汁がちょっとリッチになります。味噌汁に限らず煮付けなど色んな料理に肝を加えると美味しさがアップします。
他の内臓や皮、魚卵などと一緒に茹でてポン酢で食べたり、塩焼きにしたり、キムチと和えたり、煮付けたり、アヒージョ、酒盗にしてもいいです。
ソテーやムニエル、パスタなどのソースに混ぜてもいいですし、蒲焼きのタレに混ぜてもいいです。
肝以外の他の内臓を食す
真子・白子
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その他の内臓
その他の内臓も捨てずに是非一度食べてみてください。身とは違った食感で楽しめますし、脂の乗った魚は内臓周りも脂をまとってることがありますよ。
大きい魚でなければ内臓は小さいですし、まずは皮や肝なんかもまとめてこんな風に食べてはいかがでしょうか。
- 湯引き
- さっと茹でてポン酢や酢味噌、ごま油+塩で
- 煮付け
- まとめて煮付ける。やや濃い目に甘辛く煮付けるとお酒のお供にいいですよ
- 酒盗
- 内臓を使った塩辛です。肝や真子も一緒にしてもいいです。
- 塩焼き
- 塩焼きや串焼きにします。
個別の食べ方もあるので以下にちょっとご紹介しますね。
胃袋
やや大きめの魚であれば胃袋もそこそこの大きさなので料理に使えます。大抵の根魚は大変美味しくいただけます。ポピュラーなのは茹でて細めに切って酢味噌やポン酢などでいただくもの。ガーリックソテーなども。 甘辛く煮付けても美味しくいただけます。あと、マダラやマダイの胃袋はチャンジャに使われますね。美味しいですよ。胃袋は一度裏返して中をよく洗ってから料理してくださいね。
お客さんが作った料理をご覧ください。『ワラサの胃袋湯引き』
お客さんが作った料理をご覧ください。『マダラの胃袋のチャンジャ』
お客さんが作った料理をご覧ください。『ワラサの胃袋とマダイの真子のミョウガレモン』
お客さんが作った料理をご覧ください。 『マダイの胃袋のチャンジャと冷奴』
幽門垂
胃と腸の境目辺りにくっついている、ちょっと筋があるような感じの消化器官です。魚類のみにあります。 ブリなんかでかい幽門垂がついてますよ。 独特の歯応えがあり、他の内臓と一緒に煮つけたりしてもいいですし、塩焼きも美味しいです。 そして酒盗をつくる時には欠かせない部位です。いい感じで発酵させてくれます。
腸
他の内臓と一緒に湯引きや煮付けにしたり、酒盗に入れたりします。 胃と同様に中に何か入ってるかも知れないので、よく洗ってください。
食道
魚の食道はほんの小さいですが、あるお客さんがいくつかの食道を集めて串焼きにしてみたら美味しかったそうですよ、
心臓
心臓も食べられます。料理前に水につけてよくもみ洗いして血を抜いてください。茹でてポン酢や煮付けなどで。小さいので肝や胃袋など他の内臓と一緒に料理した方がいいかも知れませんね。
浮袋
湯引きでポン酢や酢味噌などで。魚が小さい時は量が少ないので胃袋や皮と一緒に料理したらいいと思います。
エラ
エラも料理によっては美味しくいただけます。能登には『ぶりかげ』という郷土料理があります。『かげ』とはエラのことだそうです。 ブリのエラを塩樽に長期間漬け込んで熟成させた後、塩抜きして味噌焼きにするのだそうです。
他にも塩水やタレに漬け込んだものを油で揚げるという料理もあります。
和食には「潮濾し(エラのことと思われる)の唐揚げ」という料理が伝統的にあるそうで、こちらの本で紹介されていました。オコゼやアンコウなどのエラの硬い魚を除くたいていのもので美味しく食べられるそうです。よく下ごしらえしたエラをオーブンで焼いてから揚げます。
エラは血の気の多い場所なので料理する時はよくよく下ごしらえをして臭みをとる必要があります。こちらの動画がとても参考になりますよ。 潮濾しの唐揚げも作っています。
苦玉
苦玉とは胆のうのことです。暗い緑色をした小さめの臓器なので見てすぐわかると思います。これは苦いですから食べない方がいいですね。 サンマとかアユとかはその苦さを味わいますけど、魚種によっては体を壊すこともあるようなので、なおさらあえて食べない方がいいです。
魚をさばく時に包丁でこれをつぶしちゃうと身に苦みがついてしまうので、壊さないように気を付けてさばきましょう。 頭と胴体の境目付近にありますよ。
肝や内臓の写真
マダイの肝や内臓
ご参考まで、2kg位のマダイから取り出した内臓の写真をご紹介します。
肝は季節や個体によって色が結構違います。これはかなり茶色っぽいですね。肌色みたいなケースもあります。
胃はオキアミでパンパンになっています。
真子も入ってました。産卵までまだだいぶ早い時期なので小さいです。
これは同じマダイからとった心臓です。マダイの心臓はこんな小さいんですよ。赤い部分は三角錐の形になってます。
白子の写真はこちらをご覧ください。
マダラの肝や内臓
上の真ん中から右にかけてが肝。上の左端はその他の内臓と思われます。左下が真子。右下が白子です。