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熟成
釣った魚をその日の内に食べても新鮮で美味しいのですが、旨みという点では数日寝かせてからの方が美味しいのです。旨みの正体は『イノシン酸』です。 魚を寝かせておくと体内のエネルギーの源であるATPという成分がイノシン酸に変えられて旨みが増していくのです。逆に歯応えに関しては、新鮮な魚は歯応えがありますが時間が経つにつれて徐々に柔らかくなっていきます。 イノシン酸による旨みと歯応えを総合して自分が一番美味しいと思える日数寝かせるのがいいかと思います。
どの位寝かせるのがいいのかは、個人の好みにもよりますし、魚種、季節、釣った後の処置などの諸条件が絡み一概には言えません。 あまり寝かせすぎると今度は腐敗へと進んでいってしまいます。とりあえずですが、マダイやワラサなどはとりあえず2日間位寝かせてみて、あとは好みで調整してみてはいかがでしょうか。 寝かせる魚は釣った直後に必ず血抜きをしてください。できれば神経じめもしておくとなお良いです。
魚を熟成させるために保管する具体的な方法については関連記事をご覧ください。
お客さんが作った料理をご覧ください。 『6日間熟成させたヒラマサの握り』
炙りまたは湯引き、焼き霜
魚の皮や皮と身の間は意外と美味しい部分なんですよ。なので(魚にもよりますが)皮を剥かずに残したままでお刺身にするとこれがまた美味しい。但し炙りや焼き霜、湯引きで熱を加えます。 そうすると皮の食感が良くなりますし、旨みもアップします。マダイやタチウオ、根魚類なんかもさらに美味しくなりますよ。
炙りに対する調味料は醤油だけでなく、ポン酢もとても合いますよ。お試しください。
炙りや焼き霜、湯引きの方法は関連記事をご覧ください。
お客さんが作った料理をご覧ください。 『アカムツの炙り刺し』
お客さんが作った料理をご覧ください。 『アカムツの炙り寿司』
お客さんが作った料理をご覧ください。 『マダイの肩身の炙り』
お客さんが作った料理をご覧ください。 『マダイの湯引き』
調味料に凝ってみる
お刺身の調味料はわさび+醤油だけではありません。例えばわさびの代わりに七味、生姜、ニンニクなどを使ってみても美味しいですよ。
その他の調味料としては、こんなのもあります。
- ハーブソルト+ごま油(これは船長好きです。刺し身にしてみたけどイマイチという時でもこれに変えると美味しく食べられます)
- 柚子胡椒
- ドレッシング
- 酢味噌
- マヨネーズ+醤油
- ポン酢(もみじおろしを加えても)
- 醤油+バルサミコ酢
- 塩+レモン(または塩レモンという調味料もあります)。さらにオリーブオイルを加えても。 レモンは生臭さに敏感な人にいいですね。
- 酢味噌
- 煎り酒(日本酒に鰹節、梅干しなどを加えて煮詰めた昔ながらの調味料です。自宅でも作れます。)
お客さんが作った料理をご覧ください → マダイの炙りを煎り酒で
魚との相性もありますが、いろいろお好みで試してみてください。
イカのお刺身ならこんなバリエーションもあります
- 醤油+生姜
- 醤油+七味
- 塩+すだち、または塩+レモン。さらにオリーブオイルを加えても。
お刺身に一手間かけた料理
ここでは普通の刺し身にもう一手間かけて美味しくいただく料理をご紹介します。詳しいレシピなどは割愛していますのでネット検索してみてください。 旬を外して旨味や脂が乏しいような時も美味しくいただけるというメリットもあります。
昆布締め
サクを昆布で挟んで置いておくことで昆布の旨みが魚に移って淡白な身も味わい深くなります。料亭の味わいです。 ヒラメ、マダラ、アマダイなどがよくやられますが白身魚なら何でもできると思いますし、イカでもできます。
お客さんが作った料理をご覧ください。 『マダイの昆布締め』
以下、昆布締めのバリエーションです。
- 昆布茶を使って簡単に作ることもできます。
- とろろ昆布で昆布締めにして、とろろ昆布を取り除かずにそのまま一緒に食べるのも美味しいです。
- 昆布締めをさらに炙りにしたりしゃぶしゃぶで食すという手も。
- 昆布締めをカルパッチョにするのも美味しいです。お客さんが作った料理をご覧ください。 『マダイの昆布締めカルパッチョ』
昆布締めした後の昆布、どうしてますか?魚の旨味が移ってて酢に漬けたりして美味しく食べられるそうです。こちらを参考になさってください。 天ぷらや素揚げにしても美味しいそうですよ。
昆布締め用に四角くカットされた昆布も販売されています。例えばこんなものです。
酢締め
味醂など(お好みで昆布や砂糖も)で味付けした酢に漬け込みます。(白ワインや梅酒を混ぜるという方法も。) 代表的なものがしめ鯖です。でもサバだけじゃありません。イナダやアジ、レンコダイ、ハナダイなど色んな魚に応用可能です。 生臭さに敏感な人も食べやすくなります。さらに皮側を炙ったり、カルパッチョにしたりしても美味しいです。
ごま漬け
千葉県の郷土料理だそうです。酢に漬けた皮付きの身にごまと生姜などを乗せてそれをさらに幾重かに重ねて重しを乗せ1~2日。 作るのにちょっと時間がかかりますが、酒の肴やご飯のお供に美味しいです。主にハナダイ、レンコダイなど。
づけ(漬け)
醤油ベースのタレに漬け込みます。タレにはお好みで色んなものをプラスアルファで使えますが、 よくあるのは青唐辛子で辛めにしたり、 練りゴマでコクを出したり、味醂で甘めにしたり、醤油麹で旨味をプラスしたり、生姜とゴマを使ったりなど。 出来上がったものはお寿司や丼にもできます。 べっ甲色になったお刺身は見た目も食欲をそそります。生臭さに敏感な人も食べやすくなります。焼肉のタレなどの既製品のタレを使ってみても美味しいです。
お客さんが作った料理をご覧ください。 → 『マダイの漬け丼』
漬け汁にすりゴマを入れてやると、博多名物『ごまさば』のようになります。すりごまによって香ばしさが加わります。 これもまた丼にしたりお茶漬けで楽しむこともできます。
肝和え・とも和え
肝で作ったソースをお刺身に絡めていただきます。これは旨い。カワハギやウマヅラが特に有名。でも何でもイケますよ。メバル、ヒラメ、マダラ、アカムツなどお客さんがやってみて絶賛されてます。 肝は少し湯通しし、お酒をちょっと混ぜたりします。胃袋を茹でて細切りにして混ぜてもいいです。 マダラのとも和えの場合は新鮮なものは生でもいいですが基本的に身も塩ゆでし、骨をとった身と胃袋に肝、味噌、酒、砂糖など混ぜて作るのが一般的です。
真子が入っている魚なら、茹でた真子を開いてつぶつぶを刺し身に和えてもいいですよ。
たたき
刺し身を包丁でさらにたたきやや粗めに仕上げ、刻んだ薬味(生姜、ねぎ、大葉、みょうがなど)を加えて馴染むようにさらに軽くたたきます。アジやイサキが定番ですが白身魚なら何でもOKです。
お客さんが作った料理をご覧ください。 『イサキのたたき』
カルパッチョ
お刺身にソースをかけていただきます。一番シンプルなのはオリーブオイルと塩コショウだけ。 素材がよければこれだけでも十分美味しいです。 他にレモン汁、ガーリック、ハーブ、ワインビネガー、バルサミコ酢、醤油などお好みで楽しめます。 魚だけでなく野菜も一緒に盛り付けてサラダ感覚で。これだけでちょっとおしゃれになりますね。 脂のノリが少ない魚にはオリーブオイルで脂が補われます。 大抵の魚に応用できます。
お客さんが作った料理をご覧ください。『ヒラメのカルパッチョキウイソース』
お客さんが作った料理をご覧ください。『マダイのカルパッチョ』
中華風刺し身
カルパッチョと似ていますが、こちらはポン酢などの醤油ベースのタレにごま油などを混ぜて。もちろん野菜と一緒に。 ウチの近所の中華料理屋さんの中華風刺し身はナッツも入っています。これがまた食感アップで美味しいのです。 ナッツ以外も揚げワンタンやフライドエシャロットも食感が楽しめます。この料理も大抵の魚に応用できます。
しゃぶしゃぶ
これは刺し身ではありませんが、何故挙げたかと言いますと、刺し身で食べたりしゃぶしゃぶしたり、二通りの食べ方が同時にできるからです。これは贅沢!。
生ハム
柵取りした身(最初に少し塩を振って水出しした方がベター)にハーブ入りソルト(クレイジーソルトなど)をふりかけピチットシート(ピチットについてはこちらに詳しく出ています)で包み3日ほど冷蔵庫で寝かせます。 ハム状に薄く切って、そのまま食べても美味しいですしオリーブオイルなどをかけてもいいです。柵取りした身でなく予めハム状に薄く切ったものをピチットで包むならもっと短い時間でできます。
マダイがよくやられますが多分どんな魚でも美味しくいただけると思います。
なめろう
やや細かく切った身に味噌とネギを混ぜるだけの簡単料理です。なめろうと言えばアジですが実は何でもイケます。 イカでもイケます。お客さんからマダイのなめろうを船上でごちそうになったことがありますが大変美味でした。旬を外した魚でも旨味が出て美味しくなる便利な料理です。裏技として肝を混ぜ込んだり、卵黄を落として混ぜ込むというパターンもあります。なめろうを焼いたものが『さんが焼き』です。さんが焼きでさらにお茶漬けを作るのもあり。焼く以外にも、そのまま揚げたり、パン粉を付けてフライにしても美味しいですよ。
お客さんが作った料理をご覧ください。 『アジのなめろう』
マリネ
酢やレモン汁など酸っぱい調味料に野菜などと一緒に漬け込みます。ヘルシーな料理です。夏場の食欲が出にくい時などにもいいです。揚げた魚を使えば南蛮漬けに。
ユッケ風刺し身
醤油にコチュジャンや酢、ごま油などを混ぜてタレに。最後に卵黄を落としてもいいです。焼肉のタレを使うというお手軽な方法もあります。 このユッケ風刺し身のレシピは作る人によってすごくバリエーション豊富です。ネットで検索してみると色々出てきますよ。 自分の好みに合いそうなものを選んでやってみてはいかがでしょうか。 味が濃い目になるので丼なんかにしてもいいですね。
りゅうきゅう
大分の郷土料理です。醤油ベースのタレに生姜、青ネギ、ゴマなどを加え、お刺身を漬け込みます。お好みで卵黄を乗せても。ご飯に乗せてもおつまみでもお茶漬けにしてもイケます。
六宝
こちらは愛媛宇和島の郷土料理です。宇和島では鯛めしと言えばこれになります。 醤油に砂糖などを加えた甘めのタレにさらに卵を入れて混ぜ、刺し身を漬け込みます。 タレごとご飯に乗せていただきます。
お客さんが「マダイでやってみたらすごく美味しかったからやってみて!」と教えてくださって、 作ってみたらホントに美味しかったです。
セビチェ
南米のマリネ風料理。お刺身に玉ねぎやトマトなどの野菜のみじん切りを加え、唐辛子と南米レモン果汁、塩で味付けしなじませる。 ただしこのレモンは日本では手にはいらない種類なので日本では代わりにライムを使います。お好みでニンニクやオリーブオイルなども。 白身魚、青魚、イカなど大抵の魚でいけます。
ポキ
ハワイの料理です。ぶつ切りのお刺身に玉ねぎ・海藻などを加え、ごま油・醤油・塩などで味付けします。丼にもできます。魚は何でもいけますよ。イカ・タコでも。 シンプルなので素材や調味料に色んなアレンジが考えられますね。
塩昆布和え
お刺身を少し小さくあるいは細めに切って、塩昆布と和えて少し置くだけです。 簡単な割にこれがなかなかイケます。具体的には『ふじっ子』なんかが使えますよ。
翁和え
お刺身にとろろ昆布を和えたものです。わさび・醤油をつけて食べるというよりは、 予め塩を振ったり酢や三杯酢に漬けておいたものにとろろ昆布を和えて食べることが多いようです。 翁というのはとろろ昆布を白ひげに見立てたものですかね。お刺身にちょっと高級感が出ます。
三五八漬け
スーパーに売ってる三五八漬けの素でいいので漬けこめば、旨みが増しますよ。
握り寿司・押し寿司
お寿司も美味しいですよね。刺し身もいいけど寿司飯と合わせるとますます美味しく感じるケースもあります。
お客さんが作った料理をご覧ください。 『マダイの握り』
お客さんが作った料理をご覧ください。 『マダイの湯引きの握り』
ご参考まで、お寿司のバリエーションもご紹介しましょう。まず一つ目は伊豆大島のべっこう寿司。 漬けにした身を使ったお寿司なのですが、漬け汁に島唐辛子(青唐辛子)が漬け込んであってこれが独特の味わいを作り出します。 醤油に青唐辛子を2週間ほど漬け込むと漬け汁ができます。(お酒やみりん等はお好みで。)この辛い醤油は伊豆大島でや通販で買うこともできます。
もう一つは八丈島の島寿司。こちらも漬けにした身を使ったお寿司です。漬け汁は普通の醤油ベースのもので青唐辛子は入っていません。 酢飯に乗せる時にワサビを使わず代わりに練り辛子を塗るのが特徴です。これまた普通のお寿司と違う独特の味わいがあります。
握り寿司とは違いますが、お客さんが作った料理をご覧ください。 『アジのカボス漬け押し寿司』
こちらもお客さんが作った料理です。 『マダイの押し寿司』
お刺身が食べきれずに残ったら
食べきれずに余った刺身を翌日も美味しく食べる方法をご紹介します。
漬ける
前述の漬け(づけ)や酢締めにしましょう。 漬けなら丼やお茶漬けにするというバリエーションもあります。 漬けるのは翌日にやるのでなく、悪くなる前に食べ残したその日の内にやっておいた方がいいですよ。
揚げる
竜田揚げにしてもおいしくいただけます。火を通すので翌日でも問題ありません。
炒める
生姜焼きやさんが焼き、照り焼き、焼肉のタレで炒めたりしておいしくいただけます。こちらも火を通すので翌日でも問題ありません。
煮る
甘辛く煮付けてもおいしくいただけます。アヒージョもいいですよ。
残りが少ない時は
味噌汁やスープに入れちゃうという手もありますよ。入れる前に水分をよく拭き取ってください。